京都の風土と町衆の美意識に育まれてきた京町家（きょうまちや）は、今ではとても貴重な存在であり、海外からも注目されています。現代的な生活様式に慣れ親しんだ目から見ると、なにか懐かしいホッと落ちつく空間であり、伝統的な意匠（デザイン）が逆にモダンにさえ感じます。

現存する町家は、明治から大正時代にかけて再建されたもが多く、築50年から100年以上のものまであります。またエリアごとにタイプの違う町家建築がみられます。たとえば、祇園や先斗町など花街ではお茶屋建築、西陣では織屋建て、室町・烏丸あたりではウナギの寝床と言われる商家、伏見の酒造の町家など、それぞれに特徴があります。

現在の京都の街には、町家建築を活かし、お食事処として再生しているところがたくさんあります。和食だけにとどまらず、イタリアン、フレンチ、中華料理など、さまざまなジャンルが楽しめるのも魅力のひとつです。京町屋の空間を楽しみながら食事を楽しむことは、京都観光を楽しむうえで、一石二鳥、一挙両得ではないでしょうか。