おばんざいは京都の家庭で、祖母から母へ、母から娘へ、また姑から嫁へと、受け継がれた京都の家庭料理のことをいいます。
旬の京野菜など季節の食材を使い、食材を無駄のでないように工夫した京都の家庭に受け継がれてきた食文化とも言えるものです。その特徴は素材本来が持つ味を生かしたシンプルな味付けでありながら、毎日食べても飽きることがない味付けにもなっています。ですから一見したところ質素なようでいて、本当は味にうるさく、ぜいたくであるとも言えるのです。
京のおばんざいは、手間をかけることを惜しんだりはしません。「手間ひまかけてもお金はかけるな」と言う言葉がありますが、旬の安いものを美味しくいただくという意味がこめられています。
京に田舎ありという言葉が示すように、京都では中心部から歩いて1時間ほどの地域にまだまだ田や畑が残っています。そこではおばんざいに欠かすことができない京野菜が多く栽培されています。
京野菜は1年中出まわっていて、特に冬期に収穫される大根や蕪、その他根菜類が多いのも京野菜の特徴のひとつです。京野菜は人工的に手を加えず自然栽培で育てられているため、ビタミン・ミネラルが豊富な栄養価の高い食材です。
ダイコン | 聖護院・辛味・青味・時無・桃山・茎・佐波賀 |
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カブ | 佐波賀・松ヶ崎浮菜・聖護院・大内・舞鶴 |
葉野菜 | 酸茎菜(スグキナ)・水菜(ミズナ)・壬生菜(ミブナ)・畑菜・鶯菜・花菜 |
ナス | 賀茂・京山科・もぎなす |
トウガラシ | 伏見・田中・山科・万願寺・鷹ヶ峰 |
根菜 | 海老芋(サトイモ)・クワイ・堀川牛蒡(ゴボウ) |
その他 | 鹿ヶ谷南瓜(カボチャ)・京茗荷(ミョウガ)・京芹(セリ)・京独活(ウド)ジュンサイ・九条葱(ネギ)・柊野ささげ(ササゲ)・桂瓜(ウリ)京筍(タケノコ) |
近年の日本では、食の西洋化によるカロリーの過剰摂取が原因となるメタボリックシンドロームに悩む人が多い中、逆にカルシウムと植物繊維については不足している人が多いと言われています。
カルシウムを多く含む食材としては、魚の干物、大豆などがあります。また、植物繊維を多く含む食材としては、野菜類、豆類、きのこ類などがあります。
京都のおばんざいは、こういったカルシウムや植物繊維が豊富に含まれた食材を使ったメニューが多く、栄養バランスの良いヘルシーフードと言えます。また、調理方法は「炊いたん」(煮たもの)が多く、野菜などは炊くことによって十分な量を摂取することができます。
京都じっくり観光・おばんざい特集ページでご紹介するおばんざいメニューが、あなたの大切な人の栄養バランスを考える上でのヒントとなれば幸いです。