5日に行われる競馬神事の祈願と共に、馬体の状態や速さ、乗尻(騎手)の技術などを見て当日の組み合わせを決める儀式です。午後から出仕報告などを終えた乗尻(のりじり)が朱色や紫色の三懸(さんがい)で飾った馬にまたがり神苑内の馬場を走り外幣殿で奉行の判定を受けます。
葵祭の前儀流鏑馬神事は、儀式の最初の三馳を伝統によって騎射(きしゃ)と称し、作法や装束、用具などは古来からの法式によって近衛府(このえのつかさ)の大将が長官となり、近衛府の将監(じょう)や将曹(さかん)、馬寮(めりょう)の助や允(じょう)、あるいは下鴨神社の氏人が騎射を行います。その後で武家が狩装束を着け、流鏑馬を行うのが習となっています。
葵祭の斎王代(さいおうだい)以下、女人列に参加する四十人の女性が身を清める神事です。毎年、上賀茂神社と下鴨神社の交代で行われます。斎王とは、平安 朝時代未婚の内親王が選ばれて奉仕しましたが、現在は代理として、京都在住の一般の方から選ばれた女性が務めています。十二単を着て神社のみたらしの池で 川の水に手を浸し、身を清める御禊(みそぎ)を行います。
早朝より頓宮遷御(とんぐうせんぎょ)、菖蒲の根合せ等が行われます。乗尻(のりじり)は左右に分れ、左方は打毬(たぎゅう)、右方は狛鉾(こまぼこ)の 舞楽装束を着け、馬に乗って社頭に参進します。勧盃、日形乗、月形乗、修祓、奉幣の儀を行い、次いで馬場にて順次競馳(きょうち)します。その様子は『徒 然草』等にも書かれています。
弓矢を使って葵祭の沿道を清める魔除けの神事です。 歩射神事は、三日に下鴨神社で行われる馬上の流鏑馬(やぶさめ)に対して、地上で矢を射ることに由来 しており、平安時代に宮中で行われていた「射礼(じゃらい)の儀」が始まりと伝えられています。賀茂祭(葵祭)の安全を祈願します。