「平家物語」に登場する白拍子(歌舞の芸人)・祇王で知られる祇王寺は、二尊院から化野念仏寺への道を左へ折れ、奥へ進んだ萱葺きの門のところ。
平清盛から寵愛を受けていた祇王は、妹の祇女と西八条の屋敷に仕えていた。しかし清盛の愛が、皮肉にも自分がとりなした同じ白拍子の仏御前に移ってしまい、祇王はそれをはかなんで妹・母と共に髪を剃り尼となった。
それから半年ほどたった秋の日に、庵の戸を叩く人がいた。祇王の出家のいきさつを知った仏御前だった。 彼女もまた、世の中の無常を感じ清盛のもとをたって、同じように髪を剃り、祇王のところにやってきたのだ。
祇王も、その時にはすべてのわだかまりをなくし、4人は一緒に静かに余生を送ったそうである。
祇王寺は、法然の弟子・良鎮が創建したと伝えられている往生院跡にある。庵内には、大日如来・清盛・祇王・祇女・母の刀自・仏御前の木像(鎌倉後期作)が安置されている。
また、生け垣の外の崖下の三重の塔が祇王・祇女・刀自・仏御前の合葬墓であり、その右に清盛の供養塔がならんでいる。