秋には紅葉・春には桜・竹林は潔く山々の緑はやさしい。大堰川の流れは、清く目に映る。川を横切る堰堤と水面に白く光るさざ波。渡月からみる上流の川面はこの堰によって湖のように広がり、独特の景観をつくる。
古人も多くここに来ている事を史料が伝えている。嵯峨上皇が亀山殿に吉野の桜を運ばせ入植したとも伝える嵐山では、桜の美しさが陽春の幕明けを告げる。さらにここ嵐山は、紅葉が全山を覆い、春夏秋冬その色彩を変えて人々を魅了する。
王朝の昔から行楽の地であった。大宮人だけでなく庶民もここに来て遊び戯れた。また、多くの山荘や庵が構築された。平安貴族の嵐山清遊には、船遊びが付き物であった、この風習は今も残っている。車折神社の三船祭は王朝の昔を忍ぶものである、また保津川下りは現代に生き続けている。
花鳥風月が一年を通じ一体として観賞でき、歴史や文学に関わる史跡の探索に、ここ嵯峨野・嵐山は訪ね来る人をやさしく迎えるところである。